第09話

・CHAPTER-09「夏一番!海は広いな大きいな?」

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「はい、人員点呼してください」


松原先生の言葉で各クラスの委員長が自クラスの生徒を数える・・

・・こんな砂浜に、ずっと立たせておかないでもらいたいよ・・

暑い~・・倒れそうだぁ・・・・

などと考えていると、委員長・・僕らのクラスの委員長が来た


「じゅーいち、じゅーに・・」


僕の前で止まると、ニヤ・・と怪しげな笑みを浮かべて囁いた


(で、こういう時でも私たちの活動はあるんですか?☆)

(・・後でね、後で・・今は点呼点呼。)


・・相当楽しいらしい、A.R.Kの活動は

とは言っても、委員長はまだ異形と遭遇したワケじゃなく、ただ単にアリスやブルーナイト、ウイングショットの存在を知っただけにすぎない


・・まぁ今はどうでもいいよ、それより・・

僕ら(輪中2年)は今、夏の定番臨海学校に来ている


おお、目の前に広がるは湘南の海~♪

・・なんて言ったって、僕泳ぐのあんまり好きじゃないし・・・(汗)


というワケで六澄からやってきました、目前に海を控えた小さな旅館・・

・・さて、少しはいつもよりゆっくりできるといいんだけどなぁ・・・


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「それでは部屋に荷物を置いて、しばらく休憩していてください・・後で集合かけたらすぐに集まってね?」


松原先生は念を押して、下に降りていった

2年5組と3組は二階、他は一階・・

四部屋+離れへの通路がある二階では、もちろんの事男子・女子に部屋が分かれた


・・でもそりゃ寝るときくらいなモンで、結構行き来している生徒はいる

景や小麦ちゃんも、僕らの部屋に来ていた

「大変だよね~・・委員長さ」

「大変よね~・・・まさかバレちゃうなんて・・」

「・・しかも他言しないって言っておきながら、しっかり改都・大介・明らには話したしな(汗)」

「・・・・(メモ:しずちゃんはそういう人だもん。)」


現在A.R.Kの秘密を共有するメンバー・・まぁ遠回りに言ってもしょうがない、「A.R.Kのメンバー」は僕、景、忍、メイちゃん、咲妃ちゃん、マル(一応)、委員長、小麦ちゃん、明、改都、大介、チェスさん。


「・・11人か・・」

「12人よ」


マルがピィピィ鳴いた

・・そうか、意地でもそう言い張るか・・(汗)


「ところで・・水着にならないといけないんだよね?」

「そうなるな」

「服着てちゃいけないんだよね?」

「そうなるな」


忍とメイちゃんの会話を聞いていて・・僕達は重要な事を思い出した

そう、委員長達に秘密がバレたきっかけは・・


「裸になったら・・ていうか水着でもさぁ、ボクの背中に・・・」

「・・・・そうなるな(汗)」


「ふぇーっ!?」


メイちゃんの突然の大声に、周りにいた生徒までもが振り返る!

・・まぁいいけど・・ただのバカ騒ぎの一環だと思ってくれたみたいで・・


「・・た、たいへんだよぉ~・・ボク絶対着替えられないよ~・・」

「引っ込めとけ」

「できないんだってぇ・・何回も試したけどとれないし、しまえないし、一応動かせるけど飛ぶとかできないし・・」

「・・おいおい、マジ泣きするなよ(汗)」

「あー、泣かしましたね?忍くんの女泣か・・・」


ぶわしぃぃぃ!!


突然現れていきなりそーゆーことを口走った委員長に、忍のハリセンがうなりをあげた

結構効いたようで、委員長は少しふらふらしている


「おのれはいきなり現れて何を言うかっ!?」

「イヤ・・おもしろそうだなぁ・・と」

「・・おもしろいで適当にヤバいこと言うな!!」


しかし委員長が悪びれるわけもない


「・・とにかく、人に絶対話すな!・・これ以上誰かに知れたらお前・・身体にわからすぞ?」


最後の方は忍にしては凄みがあった

目の光り方がもう尋常じゃなくヤバかったし・・

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というワケで海で泳いでます。

・・ヒマなんだよな~・・なんか泳いでるだけってのもおもしろくないし・・

僕はちら・・と浜の方に目をやった

ああ、まぶしいばかりに輝く砂浜・・そして一見意味なく乱立する木・・・

そして、その物陰に見えるのはメイド服の少女・・

・・

え?

・・あ、あの滅茶苦茶真面目な顔でこっちにらんでるのは・・


「・・景・・・あ、あれ・・咲妃ちゃんじゃ・・」

「そうだけど?」

「・・おい」

「だって、一人じゃ寂しいって言うから(母様は滅多に自室から出てこないし)」

「・・・だけどさ」


違和感あるぞ・・砂浜にメイド服

夏真っ盛りだってのに・・しかも汗だくでこっち見てるし


「・・暑いんじゃないの、あの装備・・(汗)」

「だって、セキュリティ用の装備ってあの服にしかないんだもん・・学校のセーラー服じゃハンドガン隠すのが手一杯だし」

「そういう物騒な物を仕込むな!!!」


・・と、僕らが突っ込みをかましていたとき・・

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「・・お姉様・・わがまま言った以上私がしっかり護衛します・・!」


じりじりと照りつける太陽・・木陰にいても、砂浜の反射熱が容赦なく襲いかかる


「・・でも・・せめて泳ぎたいですぅ~・・(泣)」


咲妃はそう言って目から大粒の涙をこぼしていた

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・・それから数時間後・・

夕方になって、定番のイベントが僕らを待ちかまえていた

小さなランプに照らされた野外調理場・・

石造りのアウトドア~な雰囲気を醸し出しているその簡素なキッチンに、鍋と野菜と一通りの食材が揃っている

クラスの中で独自に組んだ班に別れ、それらの食材を調理して・・「勝手に食え」と。


「さて、じゃあ始めましょうか」

「うん♪」

「そだな」

「・・ね。」


僕達の班は景、忍、メイちゃんの四人

こういうときいつもの顔ぶれでメンバー組むのは恒例みたいだね(笑)


忍は鍋にしまってあった包丁を手に・・・


取らないで、上着のポケットから短刀を取り出した


「ぶっ!?」

「なんだ、いきなり吹き出して・・?」

「と、当然だろっ!?なんで合口なんだよ!?」

「?・・あ、悪ィ悪ィ」


忍は短刀をごそごそと上着にしまった

・・代わりに、別な凶器を取り出す


「忍者らしくクナイとか使わないとな(笑)」

「だから武器類禁止っ!!!」

「な、なんだよ~・・そんなに怒鳴るような事か?」


忍はぶつぶつ言いながら、ようやく包丁を握って野菜を切り始めた

・・まったく、こーいうトコでもとんでもないんだから・・

僕がくる、と振り返った時だった


どぉぉぉ・・・ん!!


すさまじい爆発音が辺りに響く・・!


「なッ・・!?」


振り返ると数人の生徒が倒れていた

そこは・・5組のある班に割り当てられていた調理場


・・そのある班のメンバーが、班長に向かって叫んでいるのが聞こえてきた


「てめー!!何をした何をッ!?」

「・・・(メモ:びっくりして腰抜けちゃった・・起こして。)」

「み、耳が・・・・・き~ん・・って音が・・・・」

「どうかしたの大介?・・・だって、委員長が「火ィ付けろ」って言ったからさ」

「・・何をしたんだって聞いてんだよ」

「えーと・・姉さんから「もしも」用に渡されてた新型爆薬(数グラム)だよ?」

「火力は必要だが、爆発力はいらねーから・・心臓に悪いネタかますなよ(汗)」


・・明の班だ

委員長は問題だけど、明・大介・小麦ちゃん・・三人の編成はOKだと思ったのに・・

まさか、一番まともそうな明が・・(汗)


それにしても日本の自衛隊も危ない物持ってるんだ

・・明の姉さん確かに「自衛隊員」って言ってたけど・・そんな危ない物を普通弟に渡すか?(汗)


「・・いいから、さっさとカレー作ろうぜ」

「・・触らぬ神に祟りなし」


というワケで僕達は、それぞれの作業に戻った

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そのころ、先ほどの海岸では・・


ぐぅぅぅぅ・・・・


「・・・おなか空きました・・・(泣)」


咲妃が膝を抱えて、丸くなって泣いていた

景はすっかり、咲妃の分の食事を忘れていたのだった・・

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「でぇきたぁ~!!」


煮込みから後の作業を担当していたメイちゃんが、高らかに声をあげた

理由は・・断片的に残っている記憶の中で、彼女が「料理が得意」だという事がわかったから

・・忍は「何か盛りそう」だし、景はそーいうの苦手っぽいし・・

僕は一応炊事ができるからいいんだけど、メイちゃん本人がご希望という事で任せることにした

たったったっ・・・とメイちゃんが鍋を持って走ってくる

僕達はにこにこしながら、その鍋を出迎えた


「カレーはできた?」

「うん、ほら♪」

「ほぉ・・これはうまそーなカレ・・・・」

「そうだね、たしかにカレ・・・・」


メイちゃんの満面の笑みとは裏腹に、僕ら三人はしばらく・・「きょとん」としてしまった

思わず僕は「カレー」を「ひとつ手にとり」一口、味見してみる

うん、基本にのっとって忠実に再現されたレシピ、間違いなくこれはシェフの作だろう

・・隠し味も完璧に仕込まれていて、ほんのりと香る甘味もさわやかな食感を醸し出している


・・・うん、実に見事な「ミルフィーユ・グラッセ」だ。


「な・ん・で・じゃぁぁぁぁぁぁッ!?」


およそ普段の僕とはかなり異なるリアクションで、僕は大声をあげていた

メイちゃんがびく、と震えて、周りにいたみんなも驚きのリアクション(二回目)をする


「・・落ち着けよ、裕司・・たかがカレーがミルフィーユになったくらいで・・・」


しかし改めて鍋をのぞき込んだ忍も固まってしまう


「・・カレーはドコへ消えた?・・・さぁ、大人しく吐いた方が身のためだぞ、メイ?」

「ふぇ・・・(汗)」

「・・鍋の中にミルフィーユ・・」


三人揃って頭を抱えてしまった

途中まで確かに、この鍋にはにんじん、ジャガイモ、タマネギetc・・野菜が入っていたはず

・・なのに鍋を預けて十五分足らずで、何故デザートに姿を変えたのか??


「・・ぼ、ボク・・・普通に料理したんだよ??」

「・・をい、イチゴとかはどこから出した?」

「ふぇー(泣)・・・・・だ、だって気が付いたらカレーがケーキになってて・・「まぁいいかぁ♪」・・と思っ・・」

「まぁいいかぁ♪で済むかぁッ!!」


「ふぇぇぇん(泣)」

「・・裕司、お前キャラ変わりすぎだ」


・・言わないで、自分でそう思ってるんだから・・

疲れてきてるせいか、僕はとても普通じゃないリアクションを続けていた

非常識な事には慣れたハズなのに、どうしてこう「続くと」疲れるんだろう・・


メイちゃんはもう涙を滝のように流して、震えながら景の後ろに隠れてしまった

みんなも、さっきまで騒ぎの中心だった明達ですら、僕を見ている


「・・・・・・」


・・なんかどうでもよくなってきた。

カレーがミルフィーユになろうが、天地がひっくり返ろうが、もう驚く事はないだろーね・・

まぁ、確かにミルフィーユはシェフ・・いや、プロのパティシエ級の味だったし。

・・しょうがないから、僕らはカレーの代わりにミルフィーユを2、3個いただくことになった。


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夜・・

それぞれに割り当てられた部屋で、僕らは布団の敷かれた上に座って話をしていた


「もうすぐ消灯時間だね・・」

「そうだな」

「・・あたし、そろそろ寝ようかな?」


入浴時間のあとなので、僕らは浴衣に着替えている

・・なんか臨海学校というより、修学旅行気分だね・・(汗)

忍は横になって、チェスさんに借りた「沈黙の要塞」の小説を読んでいる(ていうかセガールさんがお気にらしく、あのひといつでもどこでも読んでるんだよね・・)


景はもう眠いらしく、時々目をこすっている・・ていうか髪をほどいていてメガネもないので、なんだか別人にしか見えない

浴衣もはだけかかっているので、ちょっと目のやり場に困る・・・(汗)


「ねむーいですかぁー・・ひかりさーん?」

「ひゃぁぁっ!?」


委員長が眠りこけていた景に、もたれかかってきた

しかも手が胸元に入り込んでいる・・

景は顔を真っ赤にして委員長に抵抗している


「な・・ちょっと・・いきなり何す・・・」


景は何かに気付いて、その手を掴み・・くるり、と振り返った


「・・委員長・・・お酒・・・・飲んでない?」

「はひ?・・・い~え~・・ヤケ酒飲んでた通りがかりのメイドさんにおつき合いしてただけなんですよ~」

「・・・んがっ・・」


ヘンなリアクションをしてしまった


・・咲妃ちゃんか・・!?


「・・ゴハン持ってくの忘れてた・・」

「今更思い出すなっ!!!」

「だ、だってインパクトの強い事ばっかり起きてたもんだから思わず忘れ・・」

「・・ヤケ酒ねェ・・」

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旅館:地下・・

小さな旅館ながらゲーセンと、ちょっとしたカラオケボックスと、居酒屋があった

・・もちろん僕らはこっちに来てはいけない事になっているが、委員長は暇でこっそりこっちへ来たらしい

その居酒屋のカウンターには焼き鳥の串が数本乗った皿・・

そして、一升瓶の日本酒が三本くらい並んでいる


・・店主のおじさんは、そのカウンターに突っ伏して眠っている、この場に不釣り合いな服装の少女に目をやった

酔っぱらって眠ってしまったのだが、時折すすり泣きのように寝言をつぶやいている


・・だいたい、今から1時間前のこと↓


「・・そうか、そりゃヒドイ話だよな・・お嬢ちゃん」

「・・・もうおなか空いて死にそうなんです~・・・」


食べ物の匂いにつられて咲妃がココを訪れ、今日の話をすると・・


「俺のオゴリだ、一杯やってきな」


・・どん!・・と置かれる一升瓶。


「え・・・(汗)・・・・これ、お酒ですよね?・・・私まだ未成年で・・ただおなか空いてるだけですから・・」

「ヤな事があったら酒だ酒!!」

「むぐ・・・・(泣)」


咲妃はかなりイヤがっていたのだが、店主は無理矢理一本飲ませてしまった


・・それから、酒で勢いのついた咲妃はひたすら飲みまくり・・たまたま訪れた雫もそのとばっちりをうけたのだった

「さー、一杯らりまひょー♪」

「ひぇぇぇぇ!?め、メイドさんに襲われるー!!!!」

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・・再び二階、5組男子の部屋。


「・・・つーかねェ・・・景が原因だぞ?」

「だ、だってまず寂しいって話だったから~・・(汗)」

「だったら普通ほっとくか?」

「ユウちゃん達だって気付いてくれれば・・」

「・・・とにかくさ、明日謝っておいた方がいいと思うよ?」


・・ま、咲妃ちゃんが怒るトコなんて想像つかないけど・・(汗)

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翌日・・

お約束の自由時間がやってきて、各々がテキトーに遊び始めた

海で泳いだり、砂浜で日に当たってたり、ビーチバレーをしたり・・


・・平和でいいね・・


僕は六澄にいたらまず味わえないであろうのんびりした時間に、酔いしれていた


「明ー、次審判やってくれよ!」

「ああ、いいよー・・」


明の快く了承する返事・・そして、ホイッスルのあとでビーチバレーが開始される

「トス!」

「レシーブ!」


・・で、次は・・


ぱんっ!


一発の銃弾(BB弾)が、ボールを貫通した

ビーチバレーに熱中しようと思っていた数人はそのまま固まってしまう


「・・・・明、お前今何をした?」

「あ・・ゴメン、クレー射撃の感覚が・・・・」


次の瞬間、明は得物(エアガン)ごと審判台から引きずり降ろされていた

・・ヘンな癖は持ちたくないね(汗)


「ユウちゃん」


少しだけうかない顔をして、景がこっちに来た

僕の隣に腰を下ろすと、ビーチボール・・じゃなかった、マルを砂浜に転がしながらつぶやいた


「・・咲妃ちゃん、二日酔いみたい。」

「・・いいの?一応まだ13・・・」


僕はそれより大事な事を思い出した


「って、仮にもロボットが酒なんか飲んで大丈夫なのかな・・?」

「・・多分。・・・まぁ普通の人より十分に酔いやすいみたいだけど・・・(汗)」


・・その二日酔いの咲妃ちゃんが、僕らの後ろの物陰から見ていたのにはさすがに気がつかなかった・・。

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「・・・・う・・・・あう~」


なんだか平衡感覚がなくなっていくような・・

昨日の記憶がほとんどないし・・・


暑さと二日酔いで、咲妃の頭はどうにかなる寸前だった(笑)

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そのころ・・・

海岸の奥の方、切り立った岩肌の岸壁には・・

霧の中、異形と格闘している改都の姿があった(なぜか流星牙皇装備)


「雫どの・・!この怪物が異形というモノでござるか!?」

「た、多分・・☆」

「くっ・・・こやつ・・!なんと禍々しい形相・・!」


改都の流星牙皇が空を切り、異形はばっ・・と飛んで逃れる

・・先ほど遭遇して以来、彼の攻撃は一度たりとも当たっていない

あちらからの攻撃もあるがこちらは単調であり、改都のような武道家ならば避けるは容易かった


「改都!!」

「ボクに任せて!」

「忍どの、メイどの・・おお、援軍でござるよ雫どの!!」

「じゃぁちゃちゃっと後退しちゃいましょうよ~」


雫が岸壁から離れ、改都も攻撃を防ぎつつそれに続く

代わりに、霧に飛び込んできたメイと忍が異形の前に立ちはだかった


「チェンジアップ!ウイングショット~!!」


やや間の抜けた声で叫ぶと、メイの姿は水着から一気に戦闘形態の鎧姿になる


「こんなトコまで出てくるたぁ・・よっぽどヤな野郎だな、てめえは」

「こっちの方なら人がいないから泳げるな、って思ってたのに~!邪魔しないでよっ!!」


ウイングショットと異形の、高機動力による対戦が始まった

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「むっ!」


・・ゆ、ユウちゃんの頭に一瞬「ニュータイプが敵を察知した時にでる閃きみたいなの」が!?・・


「どしたの、景?」

「い、いや・・ガンダムの見過ぎだと思うから、何でもないわ(汗)」

「異形がどこかに出てきたかもしれない・・・なんか身体が反応して・・」

「こんなトコに出てきたら笑うわよ(笑)」


ざっぱーん・・・


などと言ってたら、ホントに異形が・・・上から降ってきて、海に落着した


「あははははははは(汗)」

「ホントに笑うなッ!!・・・って突っ込みかましてる場合じゃない!」


泳いでいたみんなも、砂浜にいた他の生徒も・・みんな大騒ぎしながら逃げる

・・そういえば、いつも霧の中で戦ってるからいいけど、今回は・・


「・・・みんな初めて見るのよねぇ?」

「そうだね・・そういえば。」


異形と呼称するとおり、あの怪物は不気味な形状をしていて、主に手が伸びたり爪が伸びたりと形を変える事もできる

・・そんな生き物を初めて見れば、当然驚くだろう・・あたしたちもそうだったように


「・・行ってくるよ!」

「お姉様、私も・・!」

「・・咲妃ちゃんは今回お休みよ、正体バレちゃうでしょ?」

「・・そ、それと・・平衡感覚が狂っているのを忘れてました・・」


ぱったり倒れてしまった。

ユウちゃんは木の陰に隠れると、ブルーナイトにチェンジアップした


「なんだあの化け物!?」

「・・あいつは誰だ!?」

「どーせどっきりで、特撮番組みたいなのやってるだけなんでしょ?」


ブルーナイトと異形の戦い・・それは常識を逸脱した、非常識の世界の出来事にしか映らない

しかしブルーはユウちゃんで、確かにあの怪物も現実に存在している異形のモノ・・。


ブルーが斬りとばした異形の腕が消滅したくらいに、ようやく現実だと捉える人が出てきた


「怪物の噂・・ホントだったんだ・・」

「じゃああいつは誰なんだよ!?」

「・・正義のヒーロー、ってヤツじゃないの?宇宙から来たとかなんとかって・・」


みんな気は動転しているようだけど、不思議と落ち着き払っている

しまいにはブルーを応援する人も現れた


「・・!・・あれ、ウイングショット!?」

「お姉様、もう一体います!!」


二日酔いの咲妃ちゃんにも認識できた、もう一体の異形・・

ウイングショットと一緒に降ってきたその異形は、最後の一撃を受けて拡散する寸前だった


「・・一気に仕留める!」


ブルーの背中からブレードの柄が現れる

手にした瞬間、ビーム・ブレードが展開し・・

頭部のバイザーが跳ね上がり、ブルーの背中には二枚の大きな光の翼が現れた


「ストラァァァイク!スマッシャァァァァァァァ!!!!」


技の名前はあたしが付けたんだけど、ユウちゃんはとりあえず使ってくれている

第二形態になったブルーナイトが使える「必殺技」ね。

ビームブレードを敵に突き刺し、最大発振する・・

内部から爆発のように膨れあがったエネルギーは、そのまま異形の全身にプラズマ化現象を引き起こし・・

瞬時に、その体組織を崩壊させる

・・異形二体が消滅した後も、みんなはしばし、今起きた非常識な出来事のインパクトに打ちのめされていた

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臨海学校は午前中で終了、そして僕らは六澄までバスで帰る事になった


・・2年5組のバスの中・・


ユウちゃんとメイちゃんはぐったりして、今にも眠ってしまいそうな低いテンションだった・・

後ろの方に固まっていたA.R.Kのメンバーは今回の事について話をしている真っ最中


「・・半分休養目的で来たのにィ・・・何故~・・?」

「しょうがないじゃない、敵が出てきたら戦うしかないのよ・・」

「・・それはそうとメイ、お前・・結局泳いでないな?」

「うん・・」


メイちゃんの服装は始終、指定のスクール水着に半袖のパーカー

余裕のある上着で背中を隠し、水着に着替えて羽が見えないようにしていた


「大変でしたね~」

「・・それは委員長自身の事じゃないの?」


咲妃ちゃんにお酒飲まされて、早寝したけど朝は危うく寝坊するトコだったもん


「・・そういえば・・みんなさ、異形の話しかしてないよね?」


みんな・・?ああ、A.R.Kメンバーじゃないクラスのみんなね。


ユウちゃんの指摘通り、確かに周りは「あの怪物」の話題で持ちきり

臨海学校の帰りとは思えない・・


「・・マスコミとかそーいうトコには露見しちゃうよね、これだと・・」

「活動しづらくなりませんかぁ?」

「そーだな・・異形の事がどうだろうとかまわんが、報道陣は「謎の騎士の正体を追え!」とかやりそうだし。」


大介くんの頭にはおそらく、矢○なんとかという人のUFO特番みたいなのが浮かんでいるのだろう


「ぼ・・僕ら!?」

「ふぇ?・・・・べつにボク達の正体なんて・・」

「・・バレたらエリア51とかで某軍にあんな事されたりこんな事されたりするかもな」


忍くんの言葉で、メイちゃんの顔が一瞬で泣き顔になった


「異形がまさか、霧から外に出てくるなんて思いもしなかったもんなぁ・・」

「・・・・(メモ:まぁ過ぎたことをどうこう言っても仕方ないじゃないの)」


小麦ちゃんは「おもしろくなってきたぜぃ」・・とでも言わんばかりに笑顔だった

「・・ま、なるようになるさ・・物事は好転するようにできてるんだって」


忍くんの楽観論は、後に簡単に打ち砕かれてしまう


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「あんですとぉーッ!?」


周囲に響き渡った僕の声に、お隣ではリムさんが朝食をひっくり返してフィスさんが多大な被害を被った


「・・どうしよう!?」

「どうしようって・・どうしよう!?」


景が持ってきたのはウチのポストに入っていた今日の朝刊

・・なんと・・一面記事に・・・・・


「正体不明の怪物「4体」出現・・」


「・・ブルーとウイングまで敵扱い・・」

「ウルトラマンじゃないのよー!?」

吼える景、お先真っ暗になる僕・・・

さて、次にもし人目につくところで戦ったら・・・


1,銃撃される(警察官・自衛隊員など)

2,捕獲される(MMR・某領域51・X-FILE捜査班など)

3,爆撃される(戦闘機・戦車とか)


「イヤだぁぁぁぁぁ!!!!」

「まずいわね・・まさかこーいう安易な展開になるとは・・」

「ど・・どど、どうするのさ?」

「・・ま、イザとなれば策はいくらでもあるわ、とりあえず今は現状維持、敵が出たら戦わなくちゃ・・ね♪」

「ね♪」・・・じゃないよ・・」


こうして・・ブルーナイト、ウイングショットは宇宙人的扱いになってしまった・・

僕らはただ街の平和のために(笑)戦っているのに・・


景の言う「完全秘密組織としてのA.R.K」は、もう崩れ去ろうとしていた。


・NEXT-10「大決戦!決意も新たに立ち上がれ!」

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